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"鉄と霧の国" "インジーニアシュタット"
ジュリエーザ共和国
サンライズ王国の西隣に位置する、専制統治者を持たずに議会を開くことで政治を行うエルデ地方で唯一の「共和国」。"鉄の魚が空を飛び、鉄の龍が地を駆ける"首都「オールド・メント」は、まるで異世界のような光景を一目見ようと訪れる旅人や貴族、技術を吸収しようと励む学生たちとそれを伝授する技術者・発明家で溢れかえるエルデ地方指折りの大都市となっている。
そこかしこより湧き出る温泉など地熱に恵まれた環境を生かしアンスール帝国からもたらされた蒸気機関を短期間で急激に発展させ、ほんの十数年前まで過疎化が進行していた国とは思えない程の活気を取り戻した。競争意識の高いジュリエーザの国民性からか、国中には優れた発明家たちの構える研究所(ラボ)が点在し、お互いの技術を切磋琢磨している。その鉄菅(パイプ)の張り巡らされた工業地帯より吐き出される大量の蒸気が国中を覆い尽くしている街並みの姿から"霧の国"と呼ばれており、最も霧が濃いとされるオールド・メントに至ると日によっては数十センチ先の視界の先ですら見ることが困難になってしまうというが、1日に2度ほど霧を晴らすために巨大な風を起こす装置が稼働するので余り心配は要らない…らしい。
十数年前よりアンスール帝国と技術提携を結んだ事で開発された機械亜人(アンドロイド)が街を歩き回る風景が浸透していたが、機械亜人たちに突如「感情」が生まれるという異常事態が発生、人間に使役されるだけという自分たちの存在意義に疑問と不満を持った機械亜人たちが革命を起こした。これに対し、議会の多数を占めていた機械亜人撲滅派は機械亜人と同等の力を持つ改造人間、即ち機械奇人(サイボーグ)を開発し、対機械亜人兵器として送り込む。しかし事態が収束する見込みは得られなかったため、政府は国の汚点を白紙化、歴史から抹消することを決定した。そして5年前、政府は穏健派の猛反対を抑えつけ機械人殲滅令を発布。発布からたった2年の間に機械亜人約32万・機械奇人約15万の全個体を破壊、部品は溶解・再成形され新たな建造物の鉄骨や歯車として再利用されることとなった。
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